「AIって調べものをするためのツールですよね?」
学生の皆さんと話していると、そんな声をよく聞きます。
もちろん、それも一つの使い方です。
でも、私が毎日AIを使う理由は、検索のためではありません。
私は一度もAIに「答え」を求めたことはありません。
AIに求めているのは、
**「より良い意思決定をするための情報整理」**です。
経営者の仕事は、毎日が意思決定の連続です。
採用をどう変えるか。
設備投資をするか。
会社はどこへ向かうべきか。
正解が最初から用意されている仕事はほとんどありません。
だから私は、AIを検索ツールではなく、考える時間を増やすパートナーとして活用しています。
今回は、私が毎日のようにAIへ相談している5つの役割を紹介します。
経営で最も重要なのは、「現状を正しく把握すること」です。
私は毎日、
などの数字を確認しています。
その上でAIへ、
「この数字から考えられる課題は何か。」
「今、最も優先すべきことは何か。」
「このまま進んだ場合、半年後にはどんなリスクがあるか。」
と相談します。
AIは数字を分析し、多くの可能性を整理してくれます。
しかし、その中から何を選び、どんな行動を取るのかを決めるのは経営者です。
数字は過去を表します。
未来を決めるのは、人の判断です。
テストや資格試験が終わったら、
「点数が良かった・悪かった。」
で終わらせないことです。
今日からできることがあります。
AIへ、
「今回の結果から改善点を分析してください。」
「次回までに優先して勉強すべきことを3つ教えてください。」
と聞いてみてください。
結果を見るだけでは成長しません。
分析して次の行動へつなげることが成長です。
経営者は、自社だけを見ていては成長できません。
私は毎日、
などをAIと一緒に調査しています。
知りたいのはニュースではありません。
「これから何が変わるのか。」
です。
情報を集めることではなく、変化を読み、自社の戦略へ落とし込むことが目的です。
企業研究でも同じです。
今日からできることがあります。
第一志望の会社について、
をAIへ聞いてみてください。
会社を見る視点が大きく変わるはずです。
採用ブログや会社の発信は、一度書いて終わりではありません。
AIへ、
「学生はどこで読むのをやめるか。」
「もっと伝わるタイトルは。」
「論理に飛躍はないか。」
「採用担当者ならどう感じるか。」
と何度も添削してもらいます。
実際に皆さんが読んでいるこの記事も、AIと何度も改善を重ねながら完成しています。
エントリーシートや自己PRも同じです。
提出前にAIへ、
「採用担当者目線で添削してください。」
「もっと具体的に伝えるには。」
「伝わりにくい表現はありますか。」
と相談してみてください。
一回で完成する文章はほとんどありません。
改善を繰り返した文章ほど、人に伝わります。
一番時間を使っているのが、この役割です。
私は毎年、会社全体方針と単年度方針を作成しています。
合わせると100ページを超える資料になります。
もちろん、一日で完成することはありません。
実は、この方針づくりでは、ほぼ毎日AIと壁打ちしています。
「社員に伝わる表現になっているか。」
「数字と方針は一致しているか。」
「現場社員は納得できるか。」
「経営理念との整合性は取れているか。」
「矛盾している部分はないか。」
何十回、何百回と考え直します。
AIが会社の方針を作ることはありません。
しかし、自分では気付かなかった視点や矛盾を指摘してくれます。
その積み重ねが、より良い会社づくりにつながっています。
卒業研究やゼミ発表、インターンの企画でも同じです。
今日からできることがあります。
AIへ、
「この企画の弱点は何ですか。」
「足りない視点はありますか。」
「もっと良くする方法を教えてください。」
と相談してみてください。
アイデアは、一人で考えるより何倍も磨かれていきます。
経営者にとって一番怖いのは、
「自分が正しいと思い込むこと」
です。
だから私は、
「この考えの弱点は何か。」
「反対する人はどんな理由で反対するか。」
「見落としているリスクはないか。」
という質問をAIへ投げます。
AIは、自分とは違う視点を提示してくれます。
ただし、ここで忘れてはいけないことがあります。
AIは、もっともらしい答えを返します。
しかし、もっともらしい答えと、正しい答えは違います。
AIは現場を見ていません。
お客様と話していません。
責任も負いません。
だから最後に判断するのは、いつも人です。
志望企業が決まった時こそ、
AIへ、
「この会社を選ばない理由を教えてください。」
「他にどんな選択肢がありますか。」
と聞いてみてください。
反対意見まで理解した上で選んだ答えは、自信を持って話せる答えになります。
ここで一つ、勘違いしてはいけないことがあります。
AIは答えを出してくれる存在ではありません。
答えを出すために必要な情報を整理してくれる存在です。
だから最後に判断するのは、いつも人です。
そして、その判断の質を決めるのは、
知識量と経験量です。
知識がなければ、
AIが整理した情報が正しいのか判断できません。
経験がなければ、
どの選択肢を選ぶべきか判断できません。
現場で挑戦した経験。
失敗した経験。
人と議論した経験。
責任を負った経験。
そうした積み重ねがあるからこそ、人はAIを使いこなせます。
AIは思考を代わりにしてくれるものではない。思考の質を高めてくれるものだ。
私はそう考えています。
AIはこれからも進化し続けます。
しかし、AIは判断してくれません。
責任も取ってくれません。
だからこそ、人に求められる価値は高まります。
本を読む。
アルバイトをする。
インターンへ参加する。
人と議論する。
失敗する。
その一つひとつが、AIでは得られない知識と経験になります。
そして、その知識と経験こそが、AIを使いこなし、より良い判断をする力になります。
AIは判断してくれない。だからこそ、学びと経験を積んで、自分で判断できる人になろう。
これからの時代、本当に価値があるのは、AIを一番知っている人ではありません。
AIを使いながら、自分で考え、自分で決断し、その結果に責任を持てる人。
私は、そんな人材がAI時代に最も強いと考えています。