こんにちは。佐伯綜合建設の佐伯です。
学生の皆さんと話していると、
「ワークライフバランスを大切にしたい」
「プライベートも充実させたい」
「無理なく働ける会社がいい」
そんな声をよく聞きます。
私はその考え方を否定しません。
むしろ賛成です。
社員には家族との時間を大切にしてほしい。
パートナーとの時間を大切にしてほしい。
友人と笑い合う時間も持ってほしい。
趣味や挑戦も楽しんでほしい。
仕事だけの人生になってほしいとは思っていません。
私は、
仕事・個人・パートナーとの幸せ。
その総量が人生の幸せだと思っています。
だから社員にも豊かな人生を送ってほしいと思っています。
ただ、その一方で経営者としてずっと悩んでいることがあります。
それは、
社会人として成長しなければ、その幸せを手に入れることも、守ることも難しい。
という現実です。
そして最近、あることを考えるようになりました。
実は今の学生の方が大変なのではないか。
ということです。
大学受験には正解がありました。
問題を解く。
点数を取る。
合格する。
やるべきことは比較的明確です。
しかし社会に出ると違います。
誰も正解を教えてくれません。
AIは答えを出してくれます。
検索すれば知識も手に入ります。
でも、
どの答えを選ぶかは自分です。
そしてその結果に責任を持つのも自分です。
社会に出るということは、
正解のない世界に入るということです。
昔の建設現場は厳しい世界でした。
怒られる。
叱られる。
失敗したら責任を問われる。
現場で覚えろと言われる。
今の価値観で見れば決して褒められるものではありません。
しかし、
昔は上司が成長を半分担ってくれていました。
良くも悪くも、
経験を積ませてくれた。
成長するしかない環境がありました。
一方で今は違います。
残業規制があります。
コンプライアンスがあります。
ハラスメント対策もあります。
これは良い変化です。
私たちも昔の働き方に戻りたいとは思っていません。
ただ、
今は上司が成長のきっかけは作れても、
成長そのものは本人しかできません。
だから、
成長する人としない人の差が昔より大きく開く時代になりました。
自由になった。
でも自由だからこそ難しい。
私はこれが今の学生の皆さんの大変さだと思っています。
経営者として正直に話します。
私は今でも答えがわかりません。
若いうちは苦労した方が成長する。
これは事実だと思います。
実際に多くの社員を見てきました。
厳しい現場を経験した人ほど、
判断力が身につきます。
人をまとめる力が身につきます。
問題解決能力が身につきます。
しかしその一方で、
社員には子どもの運動会に行ってほしい。
パートナーと旅行に行ってほしい。
趣味に夢中になる時間も持ってほしい。
人生を楽しんでほしい。
でも、
「お金がないから諦める」
「仕事に自信が持てないから挑戦できない」
そんな人生にもなってほしくありません。
だから成長してほしい。
給料も上げてほしい。
社会から必要とされる人になってほしい。
人生の選択肢を増やしてほしい。
私はずっとこの矛盾に悩んでいます。
だからこそ、
長時間働くことではなく、
成長の濃度を高めること
が重要だと思うようになりました。
私は長時間労働は減らすべきだと思っています。
しかし、
成長のための負荷は必要だとも思っています。
筋トレをすれば筋肉は傷つきます。
勉強をすれば頭は疲れます。
スポーツも同じです。
成長には必ず負荷があります。
問題なのは負荷そのものではありません。
意味のない負荷です。
長時間の会議。
紙の資料。
二重入力。
移動時間。
こうしたものは減らすべきです。
しかし、
考えること。
挑戦すること。
責任を持つこと。
失敗すること。
これらは成長のために必要な負荷です。
真夏の現場。
35度を超える暑さの中で、
汗だくになりながら働く職人さんがいます。
朝早くから現場の段取りを考えている施工管理がいます。
何十人もの職人さんが安全に働けるよう準備している若手社員がいます。
それでも昼休みには笑い声が聞こえます。
協力会社の方と冗談を言い合っています。
20代の社員が50代の部長に相談しています。
そんな姿を私は日常的に見ています。
だから思うのです。
この人たちにはもっと給料を払いたい。
もっと働きやすい環境を作りたい。
もっと成長できる環境を作りたい。
社員への恩返しをしたい。
私がDXにこだわる理由も、
実はそこにあります。
施工管理という仕事は特殊です。
5年後には、
数億円規模のプロジェクトを任されることがあります。
数十社の協力会社。
数百人の職人さん。
その中心に立ち、
工程、安全、品質、予算を管理する。
簡単な仕事ではありません。
だから成長が必要です。
しかし裏を返せば、
20代のうちからここまで大きな責任と裁量を持てる仕事も多くありません。
私は学生の皆さんに、
今の仕事内容だけではなく、
5年後にどんな景色が見えるのか。
そこまで想像してほしいと思っています。
私たちは若手に昔と同じ苦労をさせたいわけではありません。
だからBIMと遠隔管理に力を入れています。
昔は図面から建物を想像するしかありませんでした。
今はBIMによって立体的に理解できます。
昔は現場所長の背中を見て覚えるしかありませんでした。
今は遠隔管理によって複数のベテラン社員が若手を支援できます。
しかし、
BIMの目的は図面を3Dにすることではありません。
遠隔管理の目的は監視することでもありません。
目的は一つです。
若手がより早く成長できること。
昔10年かかった成長を、
5年で実現したい。
だから私たちは投資しています。
効率化のためだけではありません。
人生の選択肢を増やせる人材を育てるためです。
もし今、
「何を頑張ればいいかわからない」
と思っているなら、
特別なことをする必要はありません。
成長する人は意外と同じことをしています。
自分から質問する。
わからないことを放置しない。
人の話を素直に聞く。
昨日より今日を少し良くする。
そして何より、
何か一つ本気になった経験を持つことです。
アルバイトでもいい。
部活動でもいい。
サークルでもいい。
資格勉強でもいい。
成功体験でなくても構いません。
むしろ失敗した経験の方が価値があります。
社会に出ると、
成功より失敗から学ぶことの方が多いからです。
実は今の学生の方が大変です。
昔のように誰かが無理やり成長させてくれる時代ではないからです。
だから就職活動で見るべきなのは、
初任給だけでもありません。
休日数だけでもありません。
福利厚生だけでもありません。
その会社で働く5年後の自分を想像してみてください。
今より少し成長していますか。
胸を張れる仕事をしていますか。
家族やパートナーを幸せにできそうですか。
もし想像できないなら、
少し立ち止まって考えた方がいいかもしれません。
人生は入社日では決まりません。
でも、
5年間をどこで過ごすかで大きく変わります。
就職活動とは、
会社を選ぶ時間ではなく、
5年後の自分を選ぶ時間なのだと思います。
常務取締役 佐伯 佳優