私は、昔から会社を継ぎたいと思っていたわけではありません。
むしろ、継ぎたくなかった。
正直、その気持ちの方が強かったと思います。
理由は、“自分自身”ではなく、“佐伯家の息子”として見られることが嫌だったからです。
高校時代、私はラグビー部に所属していました。
インターハイにも出場し、個人としても県指定の強化選手に選んでいただきました。
自分なりに、本気で努力していました。
ですが、その時に周囲から聞こえてきたのは、
「佐伯さんところの息子だから」
という言葉でした。
もちろん、悪気があったわけではないと思います。
ですが当時の私には、
“自分の頑張りではなく、家の名前で見られている”
ように感じていました。
正直に言うと、私は昔から“3代目らしい人間”ではありませんでした。
スポーツは好きでしたが、勉強が特別できたわけでもありません。
血の気も多く、学生時代は先生に呼び出されることもありました。
今振り返れば、端的に言うと“問題児”だったと思います。
ですが、本当は昔も今も、自分に自信がありません。
だからこそ、周囲と比較されることが苦しかった。
認められたい気持ちは強かったと思います。
ですが、自信がないからこそ周囲に反発し、周りより上に行くことばかり考えていた時期もありました。
今振り返ると、それは“強さ”ではなく、“弱さ”だったのだと思います。
だから私は、一度家業から離れました。
最初に入ったのは不動産会社でした。
その後、自衛隊にも入りました。
外の世界で、自分自身の力で働きたい。
“佐伯家”ではなく、“佐伯佳優”として評価されたい。
そんな気持ちが強かったのだと思います。
ですが、不動産会社、自衛隊と、外の世界で働く中で、自分自身の未熟さをたくさん知りました。
そして同時に、“一人では仕事はできない”ということも学びました。
実際、若手時代の私は、多くの先輩や周囲の方に助けられてきました。
判断に迷った時。
思うように結果が出なかった時。
失敗しそうになった時。
たくさんの人が支えてくれました。
その経験を通して、
“周りの声に耳を傾けること”
“素直に学ぶこと”
“感謝を忘れないこと”
の大切さを知りました。
だから私は今、若い人たちにも伝えたいことがあります。
最初から完璧な人なんていません。
私自身も、決して立派な若手ではありませんでした。
悩みながら、失敗しながら、多くの人に支えられながら、少しずつ成長してきました。
だから、完璧じゃなくていいと思っています。
悩みながら成長していけばいい。
一人で頑張りすぎなくていい。
周囲に支えられながら成長していけばいい。
私はそう思っています。

それは、“家業だから”ではありません。
私を育ててくれたのは、親だけではなく、社員のみなさんだったからです。
高校時代、私は実際に現場でアルバイトとして働いていました。
夏の暑さ。
冬の寒さ。
体力的な厳しさ。
現場仕事は決して楽ではありません。
それでも社員のみなさんは、汗だくになりながら、笑顔で働いていました。
冗談を言い合いながら作業している姿。
暑い中でも声を掛け合いながら働く姿。
私はその光景を、今でも覚えています。
当時は、正直そこまで深く考えていたわけではありません。
ですが今振り返ると、自分が今こうして生活できていたのは、社員のみなさんが現場で汗を流し、会社を支えてくれていたからだと思います。
私は社長の家に生まれました。
ですが、実際に会社を支えていたのは、現場で働く社員のみなさんでした。
社長という立場には大きな責任があります。
ですが、実際に体を動かし、お客様のために働き、会社の売上をつくっているのは社員のみなさんです。
その人たちが働いてくれていたから、今の自分があります。
だから私は、
「今度は自分が、社員のみなさんへ恩返しをしたい」
そう思うようになりました。
そして今は、
“社員が安心して働ける会社を残したい”
という想いが強くあります。
ただ、今の建設業界は決して楽観できる状況ではありません。
人手不足。
高齢化。
働き方改革。
AIやDXの進化。
このままでは、業界そのものの存続が難しくなるかもしれません。
ただ、私が建設業を変えたいと思う理由は、それだけではありません。
私は、社員のみなさんに、
“やりがい”と“誇り”を持って働いてほしい。
そして、それに見合った“待遇”を受け取ってほしい。
本気でそう思っています。
建設業は、人の暮らしを支える仕事です。
暑い日も、寒い日も、現場で汗を流しながら、一つひとつ建物をつくっていく。
決して簡単な仕事ではありません。
だからこそ私は、
「頑張っても報われない業界」
にはしたくありません。
やりがいだけを求めるのでもなく、
給料だけを求めるのでもなく、
“誇りを持って働き、その努力が正しく評価される業界”
にしていきたい。
社員のみなさんが、安心して長く働ける会社をつくりたい。
だからこそ、佐伯綜合建設ではDXやBIMにも力を入れています。
建設業を、“根性だけで続ける仕事”にはしたくありません。
働き方を変え、生産性を高め、若い世代が希望を持てる業界にしたい。
私は、本気でそう思っています。
私自身、まだまだ未熟です。
今でも、「もっと成長できたのではないか」と後悔することがあります。
だからこそ、これからも学び続けたいと思っています。
そして、社員のみなさんが誇りを持って働ける会社をつくり、若い世代が「建設業って面白そうだ」と思える未来を、本気でつくっていきたいと思っています。
佐伯綜合建設 常務取締役 佐伯佳優
マイナビ:https://job.mynavi.jp/28/pc/search/corp266521/outline.html